工場の扉を抜けると甘い香りが飛び込んできました。美容効果が高いとされるサジー（シーバクソン）やザクロなどの果実をまるごとシロップに漬けて作る、アルメニアの伝統的な飲み物「コンポート」の工場です。

アルメニア高原にはエデンの園があったと言われています。果物のアプリコット（杏）は「アルメニアのリンゴ」と呼ばれ、アダムとイブが食べたリンゴは、実はアプリコットだったという説もあります。現在でも、アプリコットや洋梨などを使ったドライフルーツ作りが盛んです。

マルコポーロも渡ったとい言われる古い橋の近くにあるワイナリーでは、自社の畑で育てたブドウのみを使ったワインを醸造しています。年間7,000本しか作られない貴重なワインです。 中小企業の多くは品質・食品衛生管理について問題意識を持っており、これを後押しするため、プロジェクトではこうした中小企業向けに品質管理研修を開催しています。研修を経て、コンポート工場の経営者はHACCP（食品衛生の認証）の取得に向けた取り組みを始めました。ドライフルーツ工場では、従業員が真空パック用の機械を正しく使えるようにするため、マニュアルを作成しました。必要な知識や道筋を示すことで企業が力強く前進していく姿に、途上国開発コンサルタントの責任とやりがいを感じます。