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社長・部長エッセイ
【部長シリーズ第21回】地域産業開発部長:AI時代のコンサルタントに求められる能力
2023年は「AI(人工知能)時代の幕開け」と言ってもおかしくない1年でした。合宿での議論も盛り上がりましたね。今回は、AIの登場がコンサルタントの業務や役割に与える影響を考えてみたいと思います。
合宿の経験を踏まえ、私もChat GPTにお世話になっています。質問すれば秒速で立派な答えを示し、私の拙い英語も一瞬で素晴らしい表現に修正してくれ、なんと役立つアシスタントなんでしょうか!しかし、喜んでばかりもいられません。このような能力の高いAIの登場は、雇用への影響も大きいと言われています。
世界経済フォーラム(2023) は、銀行窓口業務、郵便事務、データ入力、在庫管理など事務的業務、反復性が高い職業は失われる可能性が高い一方、AI、サステナビリティ、情報セキュリティ、フィンテックなど専門性と複雑性が高い職業は成長すると予測しています。
ここで急成長するとされているサステナビリティ・スペシャリストは、Chat GPTによれば、環境影響評価、エネルギー効率とリソース管理、CSR(企業の社会的責任)戦略の策定、サプライチェーンの持続可能性、ステークホルダーとの連携、法規制順守、報告書の作成とコミュニケーション、トレーニングと教育が主な業務で、これは開発コンサルティングと類似性が高いです。開発コンサルタントの仕事は、(少なくとも当面は)AIによって代替されることはなく、むしろ時代の要請は増しているとも考えられます。
しかし、AIの登場により、コンサルティング業務の質や内容は高度化します。以下は、Chat GPTによるコンサルタント業務へのAIの影響です。
“AIがコンサルタントの業務に与える影響は多岐にわたります。以下は、その主な影響の一部です:
- データ分析と洞察の向上: AIは大量のデータからパターンや傾向を発見することが得意です。コンサルタントはこれを活用して対象分野に関する深い洞察を得ることができます。
- 予測分析とシミュレーション: 将来のシナリオやビジネスの予測ができます。コンサルタントは、異なる戦略や意思決定の結果をシミュレーションし、最適なアドバイスを提供できます。
- 業務プロセスの最適化: AIは業務プロセスを自動化し、効率を向上させる可能性があります。コンサルタントは顧客の業務プロセスを見直し、コスト削減や生産性向上を支援できます。
- カスタマーサービスと対話AI: 大量の情報を扱う際に、対話型AIや自動応答システムを支援役として活用することができます。これにより、迅速かつ正確な情報提供が可能となります。
- リスク管理: AIはリスクを早期に検知し、リスク管理のプロセスを向上させる手段を提供できます。金融、法務、コンプライアンスなどの分野でリスク分析が進化します。
- 個別化されたアドバイス: AIは個々の顧客に合わせたアドバイスを提供するのに役立ちます。クライアントのニーズや状況に応じて最適な戦略や解決策を提案できます。”
えっ、AIがここまでできてしまうなら、私たちは何をやればいいのでしょう?この回答は「これらの変化は、コンサルタントが高度な技術力やデータ分析のスキルを身につける必要性を意味します。また、コンサルタントとAIの連携が、より効果的なビジネス戦略の構築と実行に貢献するでしょう」で締めくくられています。
要するに我々自身が能力を高め、AIを戦略的に活用できるようにならないと、新たな機会をとらえることはできず、コンサルタントとしても淘汰されてしまうということです。
では、どんなスキルや能力が必要になるのでしょうか?同じく世界経済フォーラムの「未来の仕事レポート(2023)」によると、重要性が増しているスキルの上位5位は「想像力」「分析的思考」「技術リテラシー」「好奇心、生涯教育」「レジリエンス、柔軟性、迅速性」です。
意外なことに、技術的なスキルもさることながら、思考方法や態度、分析能力など基礎的な能力の充実が求められています。技術的な部分はAIがやってくれるため、コミュニケーションや調整などの対人スキルや細部を統合したり、包括的なものの見方ができる総合的な思考力、構想力が求められるようになっています。
以上を踏まえると、KMCがAI時代にコンサルタントとして生き残っていくためには、次のような点に留意する必要があると思われます。
1.AIを使いこなせる能力の強化が必要。情報収集や要約、データ分析、報告書作成などはAIにより置き換えられていくと考えられるが、その結果を評価できる能力をコンサルタントとして持っておく必要がある。この意味で、経験が浅いコンサルタントは、意識的、かつ計画的な基礎能力向上を図る必要があるのでは。むしろAIを能力強化に活かす方策を検討すべきと考えられます。
2.コンサルタントの能力強化は特定分野の知識を増やすことよりも、高度な分析技術や包括的な思考方法を学び、創造力や柔軟性を養う取り組みを推進することにより、世の中の大きな動きをとらえ、AIを味方にしつつ変化するニーズにこたえるコンサルティングサービスを提供できる力を培っていく必要があるでしょう。
能力を高めるとともに、人間味やその人らしさといったものを磨いていくことも必要かもしれません。AIと競争するのではなく、AIと共存しつつ共に発展できる知恵を蓄えていけるといいですね。