社長・部長エッセイ

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「コンサルタント」としての姿勢

2004年09月
社内・社外で、コンサルタント(あるいはそう称する人達)と接してきて、気になっていることがあります。それは、そうした人達の「コンサルタント」としての姿勢や仕事のやり方に大きな違和感を覚えている、それが益々大きくなっているということです。以下、結論から先に書きます。 まず、コンサルタントと称して他から高いフィーを取っている以上、自分のやりたいことではなく、クライアントが望むことは何なのかをよく把握した上で仕事をする、そうした姿勢で仕事にあたらなくてはならない、ということです(いつも言っているように、我々にとってのクライアントとは、仕事を発注する人と最終的な受益者です)。それを勘違いして、自分のテーマばかりを追いかける人を時々見かけますが、これではコンサルタントとしてお金をもらう価値はありません。 それから、それぞれのコンサルタントがどんな主義主張を持っていても構いませんが、コンサルタント業務はそれをアピールするための場ではないということです。そんなことは学者やリサーチャーにでもなってやるべきことです。コンサルタントの立場でそれをやろうとすると、客観的な視点で仕事をすることが難しくなるばかりか、仕事に感情を持ち込むことにもなりかねず、そうなったらとてもじゃありませんが良い仕事はできません。コンサルタントは、主義主張があったとしても、それを相手が理解できる形で示すというのが仕事です。その結果、クライアントが満足すればそれで良し、そうでなければそれは自己満足の仕事をしているだけで、コンサルタントとしては失格です。一つの仕事を終えたとき、クライアントやチームメンバーの中に自分のファンができている、ということが一つの目安になるでしょう。そのために最も重要なことは、「プロフェッショナルとして相手にリスペクトされる」ということです。そのためにはどう行動すべきなのか、そんなことも考えながら仕事をこなしていってください。 さて、それでは、上の説明を分かりやすくするために、国際開発に関っている職業の人達の姿について、あえて極端を承知で分類してみました。あくまでコンサルタントと対比することが目的です。皆さんがコンサルタントではなく他のカテゴリーに属していないか、よく点検してみてください。
  • 学者、研究者: ある特定の事柄について学術的に深く調査分析をする。そのため、時間を充分にかける。周囲が何を期待するかではなく、自分が何をやりたいかをベースにテーマを決める。自分の興味・関心事が強いため、チームで仕事をするとポイントがずれて浮いてしまうことがある。報告書の提出期限を守らない人が多い。
  • リサーチャー: 学者と似ているが、アカデミズムを越えある程度実務の世界(現場)に接している。文献だけではなく足で稼ぐ調査も多い。自分、周囲双方のニーズから仕事をする。その一方で、こうした特徴は、自分なりにしっかりとしたスタンスを持たないと、すべてどっちつかず(中途半端)になってしまう。ともかくリサーチをして報告書を書けばそれで満足、その結果がどう生かされるのかはあまり関心がない。
  • エンジニア: いわゆるハード系のコンサルタントの一部で、モノを作ることに生きがいを持つ。自分の設計したモノが完成したとき、自分の糧・誇りとなる。モノづくりは、日本人が得意とすることでもあり、世界にアピールできることである。確かに過去の日本成長を支えてきたのはモノづくりの質の高さであった。そうしたことから、これからもそれは変わらないと思っている。反面、モノさえ作れればそれで良し、と考える傾向にある。
  • 仕事を発注するクライアント(役所やJICA、JBIC)の人達: 開発協力の骨子、つまりその国に対する援助方針や実施する案件を最終的に決める存在である。専門性を持たないので机上の議論に終始することが多く、現場を見てもピンときていない。風上における極めて重要な役割を担っているにも関わらず、出身母体の省益や組織益を重視するなど不埒な人達も結構多い。そうした狭い視野から抜け出して物事を広く包括的にとらえ、いかにうまくコンサルタントを使えるか、できるコンサルタントを自分の周囲に持っているかが勝負である。
  • 国連職員: クライアントであるが、語学や専門性の面で上記のクライアントの人達よりは一般的に能力が高い。その一方で、やはり現場にはあまり出ない事務所型の人達が多く、やはりあまり実体のない議論に時間を費やしている。組織の硬直性、非効率性は既によく指摘されるところで、根本的な改善が必要とされるが、手がつけられていない。途上国でもまず自分達の生活の質を確保することを大事にするため、援助資金の多くがそのために使われている。したがって、援助云々より生活の糧を得る場として考えればとても居心地が良い。そうした雰囲気にいる特に若い職員には、自分の立場を「勘違い」している人達が目立つ。
  • NGO: 活動拠点としている現地での事情には詳しいことが多い。ボランティア精神に基づいた行動が基本であり、固い信念を持っている人達も多い。その反面、「かわいそう」、「自分も何かしたい」という感情をベースにした行動を取ることにもなり、自分達のしていることを自画自賛し過ぎる、他との協調性を持たない、といった傾向も見られる。周囲からの評価にはあまり関心を持たない。日本のNGOスタッフは一般的に安い給与で頭が下がるが、その分技術力が伴っていない。
  • コンサルタント: 高学歴で、何らかの専門分野を持っている。プライドも高く、特権階級にいるという意識を持った人が多い。「モノ」という形の成果を出せないため、人材育成や組織強化などのプロセス支援や、報告書などの最終成果品のプレゼンテーションが腕の見せ所となる。人の意見を聞きながら、その人の問題を把握し解決を図ることが使命であるのにも関わらず、学者型やリサーチャー型、つまり自分のやりたいことを中心にやっている人達や、どの現場にいっても同じような結論しか出せない(つまり分析していない)人達も多い。そのため、高い給与を取っている割に役に立たない、と言われることも多い。
さて、どうでしょうか?ここで書いているコンサルタントとは、当然専門家の人達も入ります。つまりKMC社員は全員ここにあてはまる訳です。コンサルタントのやりがいは、そのアドバイスによって、最終的にはクライアントが自分の問題を解決できるようクライアント自身が主体的に動き出すようになる、ということだと思います。それに向かって、我々は良い面を伸ばし改善すべき面を改めていければと思います。皆さんご健闘を。
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