社長・部長エッセイ

セカンド・ギアの意味

2007年07月
最近、私から皆さんへの発信に、よく"KMCはセカンド・ギア入りした"と書いています。以前から車を例にしていますが、改めて会社組織というのは車と同じだと思える部分が多いと感じています。目標定めてしっかりハンドル握り、常に周りに気を配っていないと事故につながりますし、早く走ろうとしてアクセルふかせば、それだけエネルギーが必要となります。当然スピードがあがるので、そのままでは車が持たないからギアをシフトアップする。ちょうど今のKMCが、そうしてロー・ギアからセカンド・ギアにシフトアップする段階を迎えたということです。 シフトアップする、これには目に見える変化と見えない変化があるだろうと思っています。目に見える変化、これは社員全員が感じているであろう、ここ2~3ヶ月の会社の大きな変化です。昨年度は売上が100%以上増え1億円を突破しました。今月には株式会社に移行して資本金も大きく増えましたし、近々皆さんからも出資を募ってさらに増資をします。また、ロゴマークづくりや、名刺・ホームページの刷新としてきましたし、新事務所の移転先も決まって9月末には引越しです。今度の事務所の広さは今の3倍強、デザイナーを入れてコンサルタント会社らしいインテリジェンスを感じさせる事務所づくりを目指しています。会議室も応接室もつくりますので、すっかり事務所らしい事務所になると思います。こうした変化すべてが、KMCとして新たな主張をはじめたということです(余談ですが、こうしてひとつの組織が大きく変化する瞬間を自ら体験することは、私にとっても皆さんにとっても稀有なことではないでしょうか)。 それから目に見えない変化、これはまず私自身の変化といってよいのかもしれません。まあかっこよく書けばギアをひとつシフトアップする気持ちができた、もっと平たく書けばその分腹が括れたということだと思います。これは、会社の理念や状況を理解し会社を支えてくれる今の皆さん、つまりスタッフに恵まれたということがとても大きな要因だと思いますし、その点は本当に頭が下がります。その一方で、自分が信じることはたとえ自分一人になってもやる、という気持ちがより強くなってきたということでもあります。皆さんには、上昇に向けた「やる気」、「コミットメント」がもっとも大事だ、と常々言っていますが、それは私自身にとっても同じだということです。 先日ある経営コンサルタント企業のセミナーに顔を出したのですが、そこで「社長だけが地獄のパスポートを持っている、それを自覚しなければならない」といっていたのが印象的でした。気を許せば組織はあっという間に落ちていく、そんな例をいくつも見てきた、ということでした。その理由には、気の緩みもあるでしょうし(それが一番大きいと思いますが)、組織が目立てば目立つようになるほど、当然その成果に対して外の見る目も厳しくなる(今までと同じことをやっていてはいけない)、あるいはその存在をうまく利用しようとする輩が社内外に出てくる(今までになかったリスクがあちこちに顕在化してくる)、無理して身の丈以上のことをやろうとして失敗する、等々があると思います。したがって、会社のあり方、つまり社内でのコミュニケーションや仕事の質の確保の仕方、各社員の動き方、業務や経理のシステムなど、組織が変化するならばそれに合わせた工夫がとうぜん必要になってきます。今期はこうした工夫を随所に取り入れていくことになる、と考えていてください。 いってみれば、これは会社にとっての目に見えない変化の部分ですね。例えば、少年サッカーもプロのサッカーもチームは同じ11名ですが、中味は全然違いますね。これは、個人技に違いがあるという以外にも、個々の選手がどう動くのか、それを瞬時にどう判断して一つのチームとしてまとまりを持って動くのか、つまりどこまでシステム化できているか、その理解度や経験に大きな違いがあるということです。同じように、それがロー・ギアとセカンド・ギアの違い、これまでのKMCとこれからのKMCの違いだと思います。 セカンド・ギアになったということは、以前にも増して色々なことを手がけることができるということで、それ自体はとても歓迎すべきことだと思います。会社として大きな仕事が受注できるようになり、それだけインパクトも大きく我々社員のやりがいにもつながります。地域づくり事業といった新たな展開も図れるようになりました。その一方で、以前にも書いたことですが、創業後10年間生き延びる企業は10%しかない、という話がより現実味を帯びてきたと感じています。その10%の中でも、さらにきちんと収益や成果を上げている企業がどれだけいるのか、しっかりリスクマネジメントできている企業がどれだけいるのか、です。その中にKMCを入れたい、という気持ちが私の中でとても強く、それが改めて自覚できたことが、セカンド・ギアにシフトする決断のきっかけになったのかもしれません。 もうひとつ、ギアをあげたということはアクセルを踏み込んだということ、つまりそれだけエネルギーを使うようになったということにも留意しなくてはなりません。エネルギーとはつまり「ガソリン=経費」であり、「注意深く運転する力=組織のための人(社員)の力」です。現在のKMCは、一年前にはとても考えられなかったような大きな費用がかかっていますし、これからもっと必要になる見込みです。これはつまり、ガソリンを得るために稼ぎ続けなくてはならない、という宿命を負ってしまったということです。さらには、スピードを上げた車がまっすぐに走るためには、運転手も助手席や後部座席の人も、これまで以上にしっかりと前を見、気を引き締めていかないとなりません。個人商店が基本のコンサルタントですが、会社がセカンド・ギアでまっすぐ走るためには車のことを考える、つまり組織軸で動ける社員、そうした意識を持った社員がどれだけ多くいるかにかかってくるということです。 これから会社のあり方や仕組みがどんどん変わっていくと思います。会社は成長に合わせて変化しなければならない、というのが私の考えです。これから機会があるたびに皆さんにはお知らせしていきますが、会社の変化を感じたときには、これまで述べてきたような背景があるということを理解しておいてください。 皆さんへのお願いですが、確かにKMCは今成長過程にありますが、これはまだ単にひとつギアをシフトアップしたに過ぎない、しかもこれまでとは違った仕事の仕方、気持ちの持ち方が必要になった、ということをくれぐれも忘れないようにしてください。車と組織の大きな違い、それは車であれば休みたくなったらゆっくりブレーキを踏んで停車ということができますが、組織はそうはできません。この点では組織は生き物なのでしょう。生き物が成長するためにはエネルギーが必要ですし、それを維持し続けなければ組織は死んでしまいます。そんな局面にあるKMCは楽しくもあり、厳しくもあり、皆さんそれぞれがその意味を斟酌しつつ、ご健闘を。
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