社長・部長エッセイ

「20位」、そしてその後

2013年11月
すでにご承知のとおり、昨年度のJICA売上額(官民連携案件などを除く)でKMCは業界20位だそうです。素晴らしい勢いですね。私自身の想定を超えた成長スピードですが、それだけ社員の皆さん個々が持つチャレンジ精神と大きなポテンシャルが一気に発現された結果だと思います。それまでの4年間は、40位台と50位台をいったりきたりしていましたので、昨年度は「いきなりぐっーと」成長をはじめたかのようです。しかも20位以内を見渡すと多くは老舗企業ですし、社員数もKMCよりはるかに多い企業ばかり。小さいながらもKMCはこうした企業グループの仲間入りをしたということですし、それどころか一人あたりの売上額という点では、KMCは業界トップに近いだろうと思います。 売上規模がこのレベルになると、業界内でKMCを知らない人はほとんどいなくなります。それどころか、周囲からの要求水準や期待値がこれまでに比べてはるかに高くなります。だから皆さん、これまで以上に意識して高いレベルで仕事をすること、それがKMC社員たる心得えの一つだと肝に銘じてください。それから、このレベルになると、他社との条件交渉において全く互角になります。かつては大手企業に煮え湯を飲まされるような、ひどい条件を受け入れざるを得なかったことがありましたが、これからはそうしたことは一切なくなります。それよりもむしろ、業界をリードしていく存在として、契約という行為も、自社の利益だけではなく、コンサルティング業界全体の発展という枠の中で考えなければならないでしょう。「大手」であろうがなかろうが、20位とはそうしたことを意味しているのだと考えてください。 一部の人にいわせると、売上20位はすでに「大手企業」だそうです。さて、だけどどうでしょう。しっかり成長しているとは思いますが、私自身にはKMCが大手だという実感は全くないです。きっと皆さんの多くもそうじゃないでしょうか。実感がないのは、成長スピードがいきなり速くなったことや、いきなりながらもたいした混乱もなく淡々と伸びたためだろうと思います。 さてそれでは、これから、自他ともに「大手企業」だと認められるためにはどうしたらよいのか、どんな方向を目指すべきなのか。それには企業が大きく成長する時に直面しがちな課題をあらかじめ予測し、それを克服することだと考えています。大きくは次の4つ。 まず一つ目は、仕事がどんどん来るのでクオリティが落ちる恐れがあるということ。有りがちですよね。今のところ皆さんの責任感や意識レベルが高いおかげで、それほど大きな問題には直面していませんが、これからは上に書いたように要求水準があがってきますので、普通にやっていてもダメです。今までのように、個々の資質頼みだけでは乗り切ることができないかもしれません。それには組織力を強化し、今やっている知の共有・活用やサブグループ活動、チーム活動といった組織活動をより強化することだと思います。皆さんそれぞれの強みを持ち寄って組織の力を出していく、ということに尽きるのではないでしょうか。今のKMCはそれが十分にできる力を持っていると思います。だからこうした活動を継続させることは極めて重要です。 二つ目は、仕事がどんどん来てクオリティも維持しようとするので、疲弊し消耗してくることです。仕事は楽しいけど、でも仕事ばかりでは誰だって疲れます。そんな人が増えてくるとKMC全体に消耗感が広がってしまいます。でもこれについては、すでに手を打っています。他の企業ではおそらく例を見ないであろう休暇制度です。これはぜひ活用して、しっかり息抜きしてください。何事もメリハリをつけることです。それに、人は自分で選んだ仕事をやっているときは、なかなか疲れないものです。 逆に人にいわれてやる仕事はやらされ感が出てきがちです。だからKMCでは常に、コンサルタント自身がやりたい仕事を優先する(ジュニアは別ですよ)、仕事を選んだ以上、自己責任で自己管理する、この大原則はずっと守っていこうと思います。 そして三つ目は、社内がギスギスしてくること。忙しくなり、担当業務に手が回らなくなってくると、仕事や責任のなすりつけ合いが始まります。特にキャパシティが不足している人が震源地になりがちです。さらに上も忙しいので、指示系統や指示内容をはっきりさせておかないと、混乱に輪をかけます。。。でもKMCは、ここまではとても良い雰囲気で成長してきていると思います。どんなに忙しくなっても、是非この雰囲気をずっと維持し続けたいですね。皆さん個々の意識・心がけがそうした雰囲気をつくっているのは事実ですし、社内業務として担当を明確に割り振っていること、業務マニュアルでプロセスを明確にしていること(会社の変化に追い付いていないことは課題ですが)も貢献していると思います。こうしたことをこれからもきちんと継続させることです。そしてチーム制、これが雰囲気や社風づくりも含めて、今後の組織経営の根幹をなす最も重要な制度になってきます。今はまだ、チームを組織的な運営主体にできるよう、我々全員が試行錯誤しているところだと考えてください。まだまだチームの動きがぎこちないと感じますが、これからのレベルアップを目指して益々訓練を継続していくことが重要です。 そして最後4つ目は、想定外のリスクが突然襲いかかってくることです。社員数が増え、世界中あちこちで活動し、かつ仕事の難易度が高く煩雑になってくると、様々なことが起こる可能性も大きくなってきます。それがあらかじめ予測されていれば何とかなるでしょうが、いきなりこられると、決して多くはない社員、対応できないことも出てくるかもしれません。今の私にとってはこの点をどう克服していくのか、最も大きなチャレンジです。これについてはまた改めて皆さんと議論する場を持ちたいと考えています。 この4つに上手に対処できたと実感できたその時は、間違いなく「大手企業」だといえるでしょう。そのためにも身の丈に合わせた、でも少しチャレンジングな成長が良いですね。今のKMCでいえば、年間1億円ずつ売上を伸ばしていくようなスピード、つまり大きな業務実施案件の数を年一つずつ増やしていくような感じです。今が20位ならやがては10位になる、くらいの意識で十分です。それ以上大きくすることに私は関心がありません。大きくなると、どうしても「組織の歯車」的な役割を担わざるを得ない人が増えてきます。個々が責任ある役割を持ち、個々の能力を上げていかなければならないコンサルタント会社にそれは向きませんし、大きくなればなるだけ、今のようなアットホームな雰囲気も維持できないかもしれないと思うからです。だから、もし大きくなりすぎたら分社化を考えます。 でもまあ、あまりそんな先のことは考えずに、大手企業を目指してしっかりと上の4つの課題を克服できるようにやっていきましょう。そして、結果として「・・・ならKMC」と認知されるような分野をできるだけ多く持つことを目標にしたいと考えます。それがきっとチームの分け方やあり方にもつながっていくのだろうと思います。 岡部
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