社長・部長エッセイ

変化について

2005年12月
KMC通信の編集長が今回からかわったということもあって、「変化」について書くことにしました。変化といえば、常々言っているように、これがまさに我々コンサルタントが追求していくべきテーマだと思っています。 そこで、いきなり余談になりますが、今の私にはそれを表すものとしてKMCのロゴマークが頭に浮かびます。元々知恵を意味する青色をコーポレートカラーにしようと決め、ロゴマークをデザイナーにお願いしたところ、青=水というイメージでいろいろと考えてもらいました。 たくさん案を出してもらった中で、今のロゴマークはその水が変化する様を表したということでした。それがまさに私の企業イメージにぴったりと重なって気に入り、即採用を決めました。皆さんもそのつもりで末永く愛用してください。 ということはさておき、我々コンサルタントは「変化を起こす存在だ」という点に戻ります。「社会起業家」(斎藤 槙著、岩波新書)の中にマザー・テレサの言葉として紹介されている興味深い文章があります。ちょっと長くなりますが、引用します。 -貧困について話す人たちに心を奪われてしまうと、貧しい人々と話す時間がなくなってしまいます。飢餓の話をする人はいますが、彼らは決して私のところに来て、「マザー、ここに五ルピーあります。これで恵まれない人々のために食料を買ってください」とは言いません。しかし、彼らはとてもすばらしい飢餓に関するレクチャーをすることはできるのです。私はかつてボンベイで、とても興味深い体験をしたことがあります。ボンベイで飢餓に関する大きな会議が開かれることになっていました。私はその会議に出席するはずでしたが、途中で道に迷ってしまったのです。突然、私は食料と飢餓についての議論をしている会場にたどり着きましたが、そこで死に瀕した男性を見つけました。私は彼を連れ出し、家に連れて帰りました。彼はそこで死にました。飢えのために死んだのです。なのに、会場にいる人々は十五年後に食料がどれぐらいあるか、これがどれぐらいあるか、そんなことを話していました。そして、男は死にました。この違いがわかりますか?- さて、我々は果たしてこの違いを意識しながら仕事をしているでしょうか?今、我々がそれぞれ携わっている毎日の仕事、調査、インタビュー、レポート書き、現場での活動、セミナーでの発表などを通じて、おそらく大変な苦労をしながら、その中で少なくとも「良い成果・成果品」を生み出そうという意識をしているはずです。が、「良い成果」って何でしょうか?少なくとも、コンサルタントである限り、仕事を通じて何か変化が起きなければならないはずです。今の調査のやり方で、今書いているレポートの中身で、今日の現場活動で、それが可能でしょうか? 確かに我々には勉強も会議も議論も必要です。だからといって、15年後の食料のことを坦々と議論するのは我々の仕事ではありません。行動や成果が伴わない限りコンサルタントとはいえないはずです-今回は、情報を集めてレポートづくりをするのが仕事だから-そんな時でも、見栄えよく書かれただけのレポートではない、よく分析されただけの内容ではない、それを超えた何か、読み手や観る人にアピールするものがレポートから浮かび上がってこなければならないのだと思います。 日々、特に細かい作業に疲れたとき、「本当にこれって必要なの?」、「いったい何のためにこれをやっているんだろう?」と、ふっと感じることはありませんか? 私は、そんな時、しっかりと自分の軸を定めて仕事をしなければならないことを思います。一己のプロのコンサルタントとして、芯が通った主張に下支えされているのかどうか。 でも、これは簡単ではありませんね。人に感動を与えうるようなものは、結局は我々が持つ「問題意識」の中からしか出てこないのだと思います。コンサルタントとして、日々の生活や業務の中で、そうした問題意識をしっかりと磨いておくことが重要なのだと思います。そうすることによって軸がぶれることが少なくなります。誰に何を言われても、正しいことをしているという自信をもって仕事をすることができます。うわべの議論や細か過ぎる研究は他の職業の人たちに任せておけばよいはずです。 仕事に行き詰ったとき、忙しさの中で何か見えなくなったと感じたとき、我々には変革を起こすという目標、使命が与えられているのだということを是非思い出してください。そこから見えてくるものがあるはずです。 皆さんそれぞれの持ち場で、ご健闘を。
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私たちのチームは常に成長し、変化しあえる仲間を求めています。