社長・部長エッセイ

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【部長シリーズ第7回】「認知と称賛」-中小零細企業開発部長より

2019年05月
「今回のエッセイは、認知と称賛のテーマでお願いします」。このように依頼を受けました。これは面白いテーマだと思います。以下の例の通り、「認知と称賛」は、社員間の関係のみならず、コンサルティング業務における諸作業にも深く関わるからです。
  • クライアントに企画書を提出し、当方提案を「認知・評価(称賛)」してもらう。
  • 国際技術協力事業において、様々な関係者の意見がある中、互いに「認知」しあい、協力して事業を行うことで成果を出し、皆で成果を「称賛」できるようにしていく。
これらの作業は「認知→称賛」のプロセスでもあります。このプロセスは、下図の通り、マーケティングの「AIDAの法則」にも似ています。この法則は、まず相手の関心をひいて、共感を得て、こちらの提案内容に基づいて行動してもらうというものです。

しかし、実際には、上図のステップ通りに進まないことも多いのではないでしょうか。例えば、以下のようなことは、業務上でも多々発生します。
  • 精魂込めて作成した教材が、関心を持ってもらえず、そのまま本棚に飾られた。
  • 問題解決のための提案を纏めたが、関係者から反応が得られなかった。
  • 関係者間の共通認識形成を目指して、報告書作成頻度を高めたが、却って多様なコメントがついてしまい、対応が複雑になってしまった。
  • 良かれと思って実施したセミナーが、却って参加者を疲れさせてしまった。
このような例の通り、「相手の共感を得る」というステップにおいて、つまずくことが多々あります。このステップを無事に進められるかどうかに、コンサルタントとしての力量が試されているのではないでしょうか。 次に「認知→称賛」のステップがうまくいった場合、以下のようなことが発生します。
  • 国際技術協力事業で、当方提案の開発モデルが先方政府・国民に広く受け入れられ、称賛された。結果、先方の期待が高まり、各地での普及展開が予定されることになった。そのための後方支援も期待されるようになった。
  • 企画書において提案した内容がクライアントから高く評価された。結果、提案内容について、質の高いコンサルティングサービスを求められることになった。
如何でしょうか。「認知→称賛」が進むと、関係者の期待が高まり、その分、より高い責任が求められることもあるのです。そして、高まった先方期待に応え、更なる称賛を受けるとき、より高次な期待を受けてしまうこともあります。「認知と称賛」を受けることは、応分の責任を受ける可能性にもつながるため、胆力も重要です。なお、相手国の制度及び自助努力へとつなげていく技術協力事業の場合、自分たちの作業で「称賛」を得るのではなく、相手側の主体的取り組みを促すことで「称賛」を得ることも肝要だと思います。 こうした「認知→称賛」のプロセスを繰り返し経験すると、固定客から、仕事を請け負う機会が増えます。他方、新規顧客の場合は、新たに「認知→称賛」というプロセスに挑戦する必要があります。固定客からも、新規顧客からも、そして、同僚を含む諸関係者からも「認知と称賛」を得ていく、こうした挑戦は面白いと思いませんか。
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