コンサルタントの現地レポート
5千年の畜産の歴史と日本の3倍を超える水牛をもつシンド州の農村にて
2016年04月28日
アジア
パキスタンパキスタン国シンド州持続的畜産開発プロジェクト
「アッサラーム・アレイクム!」今朝も9名のカウンターパートの面々が出勤するたびに一人一人握手をして挨拶を交わします。「なんて優雅な人たち!」お互いに丁寧な挨拶を欠かさない彼らを見るたびにうらやましくもあり、尊敬の念も感じます。プロジェクトが実施されているシンド州の農村はそんな古き良き慣習がしっかりと生きているところなのです。しかし一方で、よく言えば「古き良き慣習の残る」、わるく言えば「井の中の蛙」的な、どこか世の中の変化に頓着しない、のんびりと構える人たちだとも感じます。
本プロジェクトは5千年の畜産の歴史をもち、日本の3倍を超える水牛を有する地域の農家に、畜産歴百年の日本が技術協力を行う国際協力事業です。古き良き慣習に沿って飼育されてきた水牛は、厳しい環境や飼養状況への耐性は高いのですが、発揮されるべき能力が十分に生かされていないことが多くあります。迷信じみた飼養管理の数々に、日本の畜産専門家も驚きの毎日を過ごしています。
そんな長い歴史をもつ地域の人々やカウンターパートの考え方や行動を変えることは容易ではありません。ましてや、のんびり構える面々・・・。技術指導のみならず、プロジェクトの進め方から、報告・連絡・相談の方法、仕事のスピード、メールの送り方に至るまで「彼らの流儀」にぶつかって、目が点になったり、衝突することも多くあります。
「俺たちこうやってきたから」の壁を打ち破ることはそうそう簡単ではありません。どうしてそうなるのか、その行動の背景にはどのような理屈があり、社会・組織文化があるのかを紐ときながら、彼らの行動を理解しようと努める一方で、彼らがどうしたら納得し、行動変容にまで至るのか、考え、試行を繰り返していくのは、根気と忍耐が必要!しかし、振り返れば彼らも同じ状況下にあるはず。外国人がやってきて、「違う論理でなんかいってる!」「どういうこと?!」彼らにとっても根気と忍耐の日々かもしれません。
そんなせめぎ合いの中、国際協力が進んでいます。せめぎ合いの最中は、消耗したり、迷ったり、悩んだりもするけれど、お互いプロジェクト目標という同じ方向を向いていることには間違いありません。プロジェクト期間中、それぞれバックグラウンドが違う人々からなるチームが協同で事業をすすめていく、それが国際協力なのです。プロジェクトが終了する頃には、私たちも、ゆったりと「アッサラーム・アレイクム!」と挨拶を交わすようになっていたいものです。
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