社長・部長エッセイ

「らしさ」の追求

2011年05月
KMCも設立後満10 年を迎えたわけですが、私自身はそれまで主に二つの企業でそれぞれ 10年、5年半勤務してきましたので、これからは日々、勤続記録の更新です。KMC を設立した時は、"せめて15 年間は"と考えていましたが、どうやらあと5年は持ちそうですし、もう少し長くできるのかもしれません。振り返れば今までの10 年間は、どちらかというと淡々と過ぎてきたように思っていますし、露ほどの達成感もありませんが、これからの10年間はもう少し違ったもの、もっと味のあるものにしていきたいと考えています。それが「らしさ」の追求。 KMCを設立した当時、TVではみのもんたの司会で「愛の貧乏脱出大作戦」という番組をやっていました(最近またリバイバルしているみたいです)。経営状態が悪いラーメン屋など主に小さな飲食店の建て直しがテーマでした。毎週番組を見ているうちに、店に対する経営改善アドバイスの底流にはどうやら3つあることに気づきました。まず「味が良いこと」。どんな店であってもまずい店がはやることはない、ということです。次に「他店との違い」、その店の特徴を明確にする商品をメニューに並べるということ。そして「それを知ってもらう」、つまりいかに広報するかということです。 私は当時、よしこれだ、これを新しくつくる会社に取り入れよう、と考えたわけです。だから設立した時は、「質」、「オリジナリティ」、「アピール」ということをよく言っていました。しばらくしてから、それに「組織の安定」という観点も欠かせないと思い、その4つを合わせて「ひし形戦略」なんて言っていました。このあたりは田村さんや梶房さんは覚えているかもしれませんね。最近では当たり前になったのであえて言っていませんが、このことは今でも間違っていなかったと思っています。 この4つについては前にも書いたことですが、ちょうど良い機会なのでまた具体的に説明します。まず我々が提供する「コンサルティング・サービス」の質は常に良くなければならない。評価されなければならない。時間がなければないなりに、体調が悪ければ悪いなりに、それなりに相手を満足させる報告書なり活動成果なりを出さなくてはならない。コンサルタント社員ではなければ"相手"とは当然、会社です。この点においてプロとして言訳はなしです。それには人に接する態度とか、時間を守る姿勢とか、言葉や雰囲気から来る信頼感とか、基本的な文章力とか、成果品の前段階にくるものすべてを含めてです。人からの評価というのは成果品からのみではなくこうした事を積み上げた総合的な評価でしょうから、社員の良い評価を聞くことがイコールKMCの評価として、私には何よりの励みになります(もちろん相手が気に入らないときはけんかして構いませんし、それでも評価を、と言うつもりはありませんけど)。だから「質の良さ」は絶対に譲れない点。それができないとKMCの存在意義そのものがあやうくなります。社内で盛り上がりつつある「知の共有や活用」もこの一部として位置づけられると思います。こうした動きが社内に出てきたことは、KMC もようやく集団から組織になりつつあるということ。とても大きな事です。だから、ともかく継続することが命です。 「オリジナリティ」という点について、私には特別の想いがあります。もともとが、何も苦労して"普通の"企業をつくって、淡々と毎週の公示を見て応募するのならばからしい、もっとやりがいがあってユニークな組織をつくりたい、と考えてKMC をつくったということです。前の二つの職場で感じてきた問題意識から、自分のやりたいことを集団の力でもっと力強く幅広くやれるような組織、言い出しっぺの自分が責任とるからその代わり十分に力を発揮させてくれるような組織、そんな組織を渇望していたという背景があります。前例がないとか、経営者でもないのにとか、それで自分の前向きさに待ったがかかるような組織にはうんざりしていたわけです。人それぞれが持っているやる気だとかポテンシャルだとかを全面に出して生かし切ることができる組織というのでしょうか。だから、まあ若い社員には会社としてそれなりのバックアップはしますが、基本的には、「会社は皆さん個々の想いを大事にしますよ、やりたいことをやってください、それを実現する場が会社です、でもそのための勉強も実行もその責任はまず皆さん個々にありますよ、会社はそれを側面支援する存在です、それから組織の一員としてもしっかり考え行動してくださいね、そうしたことを理解できる"大人"が集まって、みんながやりたいことを支援しあいながらやっていきましょう」というのが私の考えるKMC です。この点はKMCという会社を理解する上でとても大事なので良くかみしめておいてください。だから皆さんがそれぞれ個性を発揮していろいろな所で活躍することが私には嬉しいし頼もしい。前向きにとんがった個性、でもきちんとした大人が集まる組織というのかな、それが理想です。 広報については、ウェブというツールがあるので新規参入企業としてもずいぶんと楽に認知度が広まりました。ウェブはデザインからコンテンツまで力を入れてきましたので、業界の中では相当充実していると思いますし、そうした声を外部からもよく聞きます。数少ない業界誌の方とも設立当初からおつきあいして、けっこう高い会費や広告費をお支払いしてきたのも広報が重要だと考えていたからです。ただ、まだまだ、いろいろな場でいろいろな形でもっと露出は増やさなければなりませんね。KMCのユニークさもしかり、実力もしかり、アピールできる点はずいぶんとあると思います。 最後の組織の安定、これはこれで大変だと常々、実感していますが、まあこれからもいろいろと試行錯誤しながら、結果として個々が落ち着いて仕事ができるように、会社も社員も着実に伸びていけるように、考えていきたいと思います。最近は会社が良い雰囲気なのでとても嬉しい反面、ほんわかしすぎて切磋琢磨とか厳しさとかそんな面が薄れないように注意しなければとも思っています。このあたりは皆さんも十分に心しておいてください。楽しくても、プロとしての厳しさをなくした組織は長くは持ちませんから。楽しくて、厳しくて、夢があって、そしてイキイキしている組織、それが理想です。 さて、そうした設立時のベースにはこれからもこだわっていくと思いますが、これからの10年間、たぶんそのあたりで自分はコンサルタント人生に区切りをつけるかもしれないとも考えつつ、今私の中にあるのは、このところよく感じる「没個性感」から抜け出して、昔もっと強くあったはずの「個性感」を取り戻したい、という想いです。かえって「社長」なんて肩書きを背負っちゃっているからなんでしょうね、なんとなく平凡というのか無難に過ぎた10 年間を、これからはもっと自分らしく走りたいなあということです。人にどう見られるかではなく、どう見せるか、をもっと意識するということなのかもしれません。これからもし、これまでと違うなあ、と皆さんが感じることがあったとしたら、そうした想いが表れてきた結果かもしれません。そうした想いが、私自身はもとより、社員皆さんの、ひいてはKMC の「らしさ」発現につながると考えています。だからこれからの10年間のテーマの一つは「らしさ」の追求。 あ、それから、今のままでは社員の数も全然少ないので、これからも積極的に採用は続けます。拡大意欲は変わりませんので、これもまだまだ今後10 年間の大きなテーマの一つです。そんなKMCのこれからの10年間を益々よろしくお願いします。
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