社長・部長エッセイ

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KMCブランディング‐組織軸と個人軸

2016年11月
今年9月の第13回合宿、私にとってはなかなかエキサイティングで充実した2日間でした。 会社としてこうありたいと考える「組織軸」と、社員個々が持つ様々な「個人軸」のベクトルを如何に合わせるのか、如何に組織としての強みを出していくのか、会社を立ち上げて以来ずっと私自身の大きなテーマなのですが、まさにブランディングがそのためにとても貴重で実践的なツールであると感じたからです。合宿が終わっても少々興奮気味で、すぐ1冊の本を読んでみました(中川淳、西澤明洋 (2012). ブランドのそだてかた 日経BP)。この本のエッセンスを適宜引用しつつ、私が何を感じ考えているのか説明してみます。 ブランディングを通じて「企業のユニークさや特徴を明らかにする」とされますが、そもそも何のためにそんなことをするのでしょうか。他企業と差別化する、とはどういうことなんでしょうか。なぜ差別化が必要なんでしょうか。 競争社会においては、自社ならではのウリを明確にし、周囲にアピールし、ビジネスにつなげていくことが大切。このことはおそらく誰にでも理解できることだろうと思います。ただもっと重要なことは、社員個々がブランドを意識し、それを行動に移すことで、あるいは行動に移そうとすることで、ごく自然に個人軸と組織軸のベクトルがあってくる、ということなんですね。私はそれに気がついて、だからこのブランディング活動が、これまで社内でやってきたベクトル合わせのための活動すべてを凌駕するように感じたのです。 『ブランドはつくったところが始まり。その後いかにブランドを育てていくかというプロセスが大事。最も重要なのはインナーブランディング、つまり社内に対しての教育・啓蒙』とあります。つまりブランディングとは、結果として外に向けた活動にはなるが、実際には内部向けの活動なのだ、ということなんですね。ブランディングによって社員全員が同じ「価値観」でつながることになるわけです。そうなったらとても強い組織になりますよね。 『人に信頼されるお菓子をつくろうと思ったら、チームメンバー一人として手を抜けない。これは社員個々の「自分との闘い」である』、北海道の六花亭製菓の小田豊社長の言葉です。人がまた買いたいと思えるようなお菓子をつくる。製造過程・流通過程、どこかに一つでも欠陥があったら実現はできない。社員が誰一人として手を抜かない。それを可能とするのは共有の「価値観」であり、実現するのがまさにブランディング、ということです。我々の仕事もまさに同じですよね。チームリーダーがいて、団員がいて、業務調整がいて、あるいは海外の事務所があって、同時並行でたくさんの仕事が動いていて、そしてそれを支える間接部門があって、全員が同じ方向を向いてきちんと仕事をしている。一人でも仕事をしない社員がいれば、人から信頼される会社にはならない。 『企業の活動どこをみても、共通した価値観を明確に感じさせること』が重要だと書かれています。そして『ブランドを確立できていれば、外から仕事が入ってくる』。冒頭の問い、なぜ他社と差別化する必要があるのか、その大きな理由はここにあるのだといえます。 『ブランドとは消費者の頭の中にあるもの。世の中のニーズにこたえるべきもの。だからこそユーザー目線で物事を考える』。『ブランディングに成功した企業は、消費者と直接つながり、その声をきく仕組みを必ず持っている。時には業界の慣習を破ってまでも消費者に近づこうとする』。我々にとっての「消費者」とはクライアント、つまりJICAなり企業なりの資金提供者、そして途上国の受益者たちです。彼らの「真の」ニーズにこたえる、ぶれない、という点は、まさにKMCアイデンティティのひとつである「本質の追求」、そのものですよね。 そして、社内でそうした価値観が共有できたとして、それをどのように周りに伝えていくのか。これもまた大きなチャレンジです。『磨くべきは伝える力、説得する力、その主役は顧客接点にいるスタッフ一人一人である』。『ブランドに本当に必要なのはコミュニケーション』。これについては、これ以上多くを語る必要はないだろうと思います。 そして皆さん、仕事をしていて何かに迷ったとき、「それはKMCらしいか」を自分に問えばよいのです。その拠り所となるのがブランドなのだろうと思います。そんなブランドをつくり、発信していきましょう。 KMC15周年記念事業でもあるこのブランディング活動、これからのKMCの新たな、かつ大きなチャレンジが始まるといえるのではないでしょうか。皆さんぜひ、これからの会社の動きを自ら引っ張り、そしてついてきてください。
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