社長・部長エッセイ

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【部長シリーズ第4回】中小零細企業開発部:そして挑戦

2018年08月
「開発コンサルタントは、個人商店に似ている」と様々な人が言っています。個人商店を含め、個人事業者・小規模企業の開発は、中小零細企業開発部の扱うテーマでもあります。 近年、日本の個人事業者数が減少しています。個人事業者数は2009年の231万から2014年には197万に減っています (注1)。経済人口減少や国内市場成熟等、様々な要因が考えられます。こうした中、どうすれば、個人事業は市場で勝ち残ることができるのでしょうか。そのためには、「情報を活用して市場環境の変化に敏感であること」が重要だと思います。 以下、2017年の政府統計から作図した2つのグラフを示します。これらの図では、「インターネットをビジネスに使う個人事業者群」を赤色棒、「そもそもパソコンを利用していない個人事業者群」を水色棒で示しています。 2つの個人事業者群を比較すると、図1の通り、あらゆる業種において、パソコン不使用事業者群の方が、売上停滞に悩んでいる割合が高くなっています。「情報を活用しないと売上が伸び悩む」傾向にあると言えそうです(注2) 。 他方、図2をご覧下さい。同業者等との競争激化を認識する個人事業者の割合を見ると、多くの業種において、インターネット使用事業者群の方がパソコン不使用事業者群よりも高くなっています。情報技術を活用していない個人事業者は、市場環境の変化(競争激化)に気づかない傾向があるのかもしれません。 市場環境の変化に気づかないと、安定的な経営(売上)は望めません。常連客が高齢化して来店しなくなった、販売先企業の生産拠点が海外移転した等々、個人事業の市場環境も変化しており、その対応が重要だからです。 冒頭、「開発コンサルタントは、個人商店に似ている」と申しました。開発コンサルタント業務においても市場環境と需要は常に変化しています。例えば、BOP及びインクルーシブビジネス、SDGsへの対応、新技術(ICT、フィンテック等)の利用、政策評価、マーケティングの開発への適用等々、新たな開発テーマが現れています。 こうした中でも勝ち残るには、どうしたら良いのでしょうか。従来の得意分野のみに固執せず、市場の変化を積極的に観察し、新たな挑戦をすることが重要なのではないでしょうか。 新たな挑戦では、新規顧客開拓に加えて、これまでの顧客に対して新たな価値を提案していくことも重要だと思います。 開発コンサルタントは、様々な点で個人商店に似ています。開発コンサルタントの作成するレポートと、店の商品展示も、よく似ていると思います。工夫を凝らして顧客や関係者に関心を持ってもらうようにする、という点では、商品展示もレポート構成内容も同じだからです。 如何でしょうか。まず、新成果や新商品で顧客の関心を引きつけ、その後、実際の取引商品や報告材料を分かりやすく示す(商品や活動に対する顧客の理解を求める)、という点で似ていると思いませんか。 ブティックで頻繁に店内模様替えを行ったり、目立つ場所に季節の新商品を並べたりするのは、常連客を飽きさせないためです。こうした努力によって店のファン(常連客、固定客)が増えれば、売上が安定します。 開発コンサルタントの業務においても、請け負っている案件で、毎月(あるいは定期的に)、新たな成果を出し、それを効果的に提示することが重要です。これによって、発注者や受益者が、私たちの仕事内容と成果に対し、継続的に高い関心を持ってくれるようになります。そうなると、実施中案件において、関係者の支援が得られ効率的な業務実施が可能になります。関係者の高評価が得られると、将来の受注機会も拡大します。この意味において、毎回、同じような報告や活動広報をするのは、折角の機会を失うことであり勿体ないと思います。 常に新たな成果を形成・提示するためには、新しい開発課題に取り組み、積極的に新しい価値を創造することが必要です。顧客や受益者に対し、新たなソルーションを提供できるようになると、仕事も面白くなります。業務を通じて、新たな価値を、様々な関係者と共に形成・共有できれば嬉しく存じます。 (以上) (注1:この間、企業・事業総数は421万から382万に減っており、全体数の減少の多くは個人事業者数の減少によるものと言えます) (注2:こうした結論をグラフの内容から導くのは、根拠が十分とは言えませんが、常識的な一般論として述べます。安定的な売上のためには、他の要因の影響も考えられます) (注3:かつて、執筆者が商店経営について助言した南米の零細商店(装飾品を扱う女性零細ビジネス)
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