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母親を通じた女子教育の推進

2025年12月01日
アジア
パキスタン国 学校活動と住民参加を通じたジェンダーに配慮した就学継続プロジェクトパキスタン

本プロジェクトはパキスタン国シンド州の小学校の修了率改善を目指しています。特に男女格差の大きい農村部では女子の就学に配慮した活動が必要とされています。

対象は女子生徒ですが、活動では女性保護者である母親のSMC(School Management Committee)活動への巻き込みに取り組みました。パキスタンではSchool Management Committeeという日本のPTAのような委員会が学校ごとに組成されています。行動に制限があることが多い母親はSMCを知らなかったり、子どもの学校にさえ行ったことがない、という人が多くいました。

母親のモビライゼーション[1]から始め、今では多くの母親が自身の子どもが時間通りに通学しているか気を配るようになり、学校で教員と話すようになっています。こうしたSMCへの参加は子どもたちの学びへの影響のみならず、母親自身のエンパワメントにもつながった例が見られました。ある学校のSMC委員となった女性は、委員となったことで積極的に発言するように自分が変わったと話してくれました。その後母親対象の識字教室に参加し、学校で用務員の職も得ました。このような変化をもたらしたものは何?との質問に、「教育!」と答えてくれました。

ある学校では、女子生徒のほとんどが小学校修了までで就学を終了していましたが、母親の集まりで教育の大切さを認識し、全員が中学校に進学することになりました。これまで家で家事をすることを説かれていた娘たちは中学校に進学できることになり大変喜んだそうです。母親たちは集会で話した内容を夫や家族に共有し、男性家族の認識も変わってきたそうです。

女子の就学には様々な障壁がありますが、こうした少しずつの変化が大きなうねりとなっていくことを願ってやみません。

学校周辺、通学路のリスクマップ[2]

母親が制作した黒板消し


[1] 本文脈でのモビライゼーションは、母親のSMC活動への参加を促し、子どもの教育に参加する行動を後押しする取り組みへの働きかけを指す。

[2] 子どもたちが安心して学校へ通えるように、学校周辺や通学路にある危険や心配な場所を地図にまとめたもの。

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