社長・部長エッセイ

ポテンシャルをみる

2010年11月
日本人が日本人としての誇りや自信を持つことの大切さや、日本人ならではの ODA のやり方があるはず、ということを前々回に書きました。現在関わっているパキスタンの畜産開発計画調査でも、"地域住民が誇りを持てるような開発計画"をつくることがコンサルタントに求められています。そうなると、これまでの現状把握や問題分析という形から入ったらうまくいかない。いつかの巻頭言にも書いたことがありますが、外国人が途上国に来て、これが問題だ、あれも問題だと騒いでいたら、その国の人たちは自信をなくしてしまうおそれがある。少なくともそうしたやり方が彼らの中に誇りを生むことにはつながらないと考えています。問題分析というのは、プロジェクトを実施するための妥当性を整理するため、つまりお金をつけるための方策であって、それ自体がポジティブな変革を促すツールではないからです。 今の日本(と、どうしてもこちらに話が戻ってしまいますが)、最近ますます気になって仕方がない。こうして海外にいて、日本が周辺国に国境を脅かされたり海外で企業が焼き討ちにあったりという報道を耳にしても、"なんで?"っていうくらい日本側の動きが聞こえてこない。これまでは、いやいや我々は経済的にも豊かで大人の国だから感情的な対応はしないよ、民主的な国なんだから暴力なんていかん、なんて平然と構えていましたが、実は我々誰も行動に移せない、ということでしょう。だからやばい、(自分ではなくて)誰か何とかして!と感じている人が多いのではないかと思います。これって結局、天下泰平を謳歌しすぎて、他の国のようにアグレッシブに生きることをしなくなったからです。でもそうしたことに気づいたからといってそうそう簡単には動けない。だから"人のせいにして"相変わらず国内で批評や批判しあってばかりいる。それで結局は周りの国に追いつき追い越されて、だんだんと自信喪失しているというのが実態ではないでしょうか。だから、こういう時だからこそ、みんなで日本人自身のポテンシャルを見ましょうよ、誇りや自信を取り戻しましょうよ、ということです。特に私たちは途上国の開発に携わるという意義の高い仕事をしている訳ですから、そこで培った経験を通じて日本を見る、日本の行く末を案じる、そして途上国の開発と同じように、ポテンシャルを見ていくことで何かが開けていくに違いないと思うのです。
募集要項
エントリー

私たちのチームは常に成長し、変化しあえる仲間を求めています。