社長・部長エッセイ

10億円企業

2014年11月
今期、KMCもいよいよ10億円企業の仲間入りをします。特にこの3年間、予想外のスピードで成長を続けてきた、その結果だといえます。この「組織が大きくなる」とはどういうことなのか、今回は私の率直な心境を書いてみます。 企業は成長すること自体が宿命です。これを企業会計などの世界では「ゴーイングコンサーン」といいます。人はやがて生を全うしますが、企業は未来永劫続くことが前提とされているんですね。この、企業は「継続」し「成長」するものである、という命題をずっと私なりに追求してきた結果が、今のKMCの姿として表れているのだと思います。 組織は、経営者が「成長はこの程度で良い」と思った瞬間から「守り」に入るだろうと私は考えています。そう思ったらチャレンジしなくなるでしょう。そしてやがて組織は衰退します。つまり、組織を存続させようとするのであれば、現状維持ではなく、常に成長を追い求めていかなければならない、ということになります。正直なところ、これってけっこう大変なことだなあ、重たいなあ、と私は思います。組織が大きくなることは嬉しいことですし、有りがたいことです。といって気が抜けない状態がずっと続くので、手放しで喜べることでもない。会社を経営するということを、すっかり生活の一部にせざるを得ないんですね。だから、私に「ゴーイングコンサーン」の気持ちが萎えたら、その時は経営者でいるべきではない、誰かに譲るべき時だと思っています。そして残念ながら、それが明日なのか来年なのか、あるいは5年後なのか、もっと先なのか、実は私にも全く分かりません。逆にいえば、心・技・体が健全に維持できている、と私が感じる間はチャレンジをし続けるのだろう、し続けるべきだ、ということなのかもしれないと思います。 でもこれって実はコンサルティング業務も同じですよね。私自身ずっと「こりゃ、大変な稼業だなあ」と思いながら仕事をしています。でも、我々コンサルタントが「高い成果を出す」というこだわりを持てなくなった時は、コンサルタントをやめるべき時です。だから経営者としての私の気持ちも、皆さんにも分かってもらえるような気がします。 常々申し上げているとおり、今のところ、KMCという会社の組織づくりはサードギアの段階、これから取り組むべき課題もたくさんあり、そのために今は急坂を上っているような状態、組織づくりが佳境に入っている状態で、これまでよりずっと馬力が要ります。今の私の気持ちは、このまま踏ん張ってこの坂を上り切り、なんとかトップギア入りして、そして高速道路を突っ走る組織にしたい、そのためのチャレンジをしていきたい、ということです。しばらくそんな気持ちでKMCの成長を引っ張っていくのだろうと思います。そしてKMCがそんな組織になれた時、まだ私の気持ちが充実していれば、それからまた新たなKMCの姿を追求していくことになるのでしょう。まあ、まだずいぶん先のことではありますが。 今、KMCではたくさんのプロジェクト案件が同時進行しています。社員30余名で業務実施案件の幹事が7本、構成員案件もいれれば11本、これに加えて企業支援案件が4件、これすべてが現在進行形です。これって、私のこれまでの経験上、とても信じられないくらいすごい!ことなんです。案件に関わる社員、案件をサポートする社員の力がすべて健全に発揮できていないととてもできないことです。それどころか、我々は今の状態に甘んじることなく、組織としてもっともっと高いところを目指していこうと、この第15期から様々な取組みをしています。これが私が感じる「急坂」です。だからしばらく踏ん張れば、これからKMCはもっと面白い、もっとすごい!ことになる、という予感みたいなものがあります。今は想像できないような新たな事業が始まったりするかもしれませんね。楽しみにしていましょう。 でもまた、ふと思います。こうしてたくさんのプロジェクト案件を実施していると、総括を担える社員がさらに育ってくる、あるいは有能な総括候補が入社してくる、それによって会社が手がけるプロジェクトの数が増える。そうなると若手社員ももっと必要になる。採用する。彼らが育ちやがて総括になる。プロジェクトの数が増える。えっ、いったいいつこの上昇スパイラルがとまるのだろうか。果てしなくプロジェクトの数が増える、果てしなく社員の数が増えることになるのだろうかと、逆にちょっと不安になったりもします。 でも実際には、組織とは一直線には成長しないものなのでしょう。それが組織づくりの難しさでもあり、面白さでもあります。特に、良くいわれるように?調整(コーディネーション)コスト"、これが大きくなってくることに、組織づくりの難しさがあると思っています。つまり社員が増える、その多くの社員全員が同じ方向を向いて活動できるようにしなければならない、そのためには色々なルールをつくらざるを得ない、そうしたルールづくりやそれを浸透させるためには、これまで必要としなかった労力とコストがかかる、ということです。あるいは、これまで少人数でやってきたことが通じなくなる。例えば、これまで管理部門が担ってきたことも、社員数も案件数も増えればとても手に負えなくなる。そこで管理部門の人数を増やすか現業の社員が管理の仕事を担うようにしなければならない。当然そこにはこれまで以上のコストが発生する。同じような業務に何人もの社員が関わるので、意思疎通が以前よりはるかに大事になる。そこにもコストが発生する。あるいは、これまで社長と各社員が直結で意思疎通できたことも、人数が増えれば当然その中間でつなぐ役割の社員が必要になってくる。これもコストです。費用だけではなくて、気も使えば労力も使う。それらをすべてひっくるめたのが調整コスト、これを如何に下げるかがこれからの大きな課題の一つです。社員個々が置かれた立場で責任を全うするという意識や能力、そして社内のコミュニケーションの取り方がますます重要になってきた、と私は思います。「組織が大きくなる」とはそんなことなのだろうと思います でも、組織が大きくなれば?できる人"も益々、集まってきてくれます。良い刺激を受け、良い仕事ができるようになります。自分の器も広がります。それは私を含め、コンサルタントにとって最も大きな喜びではないでしょうか。それから、良い事務所で仕事ができますね。これも私にとってはとても嬉しいことです。だから大変でもあり、楽しみでもある。それが今の私の率直な心境です。 岡部
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